愛媛大学工学部応用化学科 構造有機化学研究室

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研究内容

テトラチアフルバレン(TTF)は酸化(電子を放出)することで1,3-ジチオール環が芳香族性を示すため、強い電子供与体(ドナー)であり、また高い平面性を有することから有機伝導体の構成分子として知られております。構造有機化学研究室ではこの酸化還元活性な1,3-ジチオール骨格に着目して、新しい有機分子性材料の研究を行っています。このような分子の特性を利用して現在、次の3つの研究テーマについて研究を進めております。一つめは交差共役系に1,3-ジチオール環を導入した多段階酸化還元系の構築に関する研究です。二つめはTTF二分子が融合したビス(1,3-ジチオール-2-イリデン)テトラチアペンタレン(BDT-TTP、シンプルにTTPと略します)を基幹とした新規ドナーの合成と有機伝導体の開発に関する研究です。三つめは電子受容性部位を有するドナー分子を用いた単一成分導体の開発と有機デバイスへの展開に関する研究です。研究スタイルは分子の設計、合成、得られた物質の物性測定・解析まで一環しており、一つの分野にとどまらない学際的な知識の習得と能力の育成を目指しています。
 

 

研究テーマ

交差共役系を有する多段階酸化還元系の構築と導電性材料への応用

皆さんご存知の通り、共役ジエンやベンゼンのような化合物が共役するのは平面性が高いためです。それは下図に示した[n]デンドラレン、[n]ラジアレンのような化合物でも同様に考えられます。しかし、この化合物に御崎研で誰もが使用している酸化還元活性な1,3-ジチオール環を導入した1,3-ジチオール[n]デンドラレンや1,3-ジチオール[6]ラジアレンは平面性が低く、ねじれた構造(非平面構造)をとることがこれまでの研究で明らかになっています。それ故にこのような分子系では共役範囲が制限されるため、興味深い酸化還元特性を示します。
 
 
また、これらの化合物は酸化されることによりコンフォメーション(立体配座)変化を起こすことが知られており、それを利用した共役のスイッチングに興味が持たれています。
 
 

新規有機伝導体の開拓

分子性導体のドナー成分として知られるBDT-TTP(TTP)と対アニオンからなるラジカルカチオン塩は、TTPの横方向のS・・・S接触による二次元伝導性、ユニフォームなβ型構造によるスタック方向の強い相互作用によって対イオンの形状、大きさに関係なく低温まで金属的な伝導挙動を示すことが知られています。また、TTPをビニローグ拡張したDTEDTにおいても非対称なDTEDT分子が同じ向きに配列したβ型構造を有し、低温まで金属的な挙動を示すカチオンラジカル塩が数多く得られています。このうち(DTEDT)3Au(CN)2は4Kで超伝導を示します。
 
 
現在、TTP骨格内の硫黄原子を系統的にセレン原子に置き換えた分子の合成を行い、それらを用いた新規有機伝導体の構造と物性に関する研究を進めています。
 
 

二次電池用有機正極活物質の開発

二次電池を始めとする蓄電デバイスは、携帯電話やノートパソコン、電気自動車などの電源として私達の生活に密接に結びついています。しかし、これらの機器の利便性の更なる向上や、電気自動車などの稼働距離の向上のためには、現在のリチウムイオン二次電池の更なる高性能化やリチウムイオン二次電池を超える高いエネルギー密度の新型蓄電デバイスが必要とされています。しかし、これらの蓄電デバイスの正極には、Co, Ni, Mn などの希少金属が使用されており、環境負荷、資源枯渇などの観点から問題視されています。この解決策として、分子設計の自由度が高く、環境負荷軽減、豊富な資源などの多数のメリットが期待される有機材料が着目されています。

 

 

 
正極活物質として酸化還元活性なTTFに様々な化学修飾を行い、得られた有機化合物を用いた二次電池を作製し、その評価を行っています。
 
 
 

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